死者の書
映画について期待はずれ、とは言いましたが、何か引っかかるものはありました。
それは多分、人形アニメという手間のかかる手法を使って表現したくなる原作はどういうものなのか?ということ
- 作者: 折口信夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1999/06/18
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 51回
- この商品を含むブログ (71件) を見る
が、実際に読んでみると意外にも読みやすい。
リズム感に満ちた美しい文章に目を遊ばせる快楽がありました。
朗読して脳の活性化を図るにもいいテキストなんじゃないかしら
映画のパンフに書いてあった程解りにくい作品ではない…と思いましたが、
これは映画であらすじを知った上で読んでるわけですから、いきなり読んだらまた別の感想もあったかも解りませんし、原作を読み込んだ上で映画を観ればまた違う世界が見えたのかも。
映画では割愛されていた心理描写のシーンなど行きつ戻りつして読んだりしましたしね。
…こういう帯に短したすきに長し的な映画最近見たよな…なんだっけ…
Zガンダムだ!(笑)
もっとも筋だけを追った感想は映画と同じく、え?もう終わり?
なんでそうなるの?なんですが。
作品タイトルもなんか座りが悪いんですよ。冒頭こそ死者(大津皇子)の独白で幕開けし、主人公の郎女も彼の事ばかりを想って過ごすわけですが…なんだかあらぬところに物語はたどり着いてしまうわけで。この辺に何か読みおとした物の正体が隠れて居そうな気はいたします。
それにしても映画の方は心理描写など削り取った部分が多いわけで、ならば美術方面の美しさで原作の文章の美しさを凌いで貰いたかったという思いはますます強まりました。
作品上重要なファクターである二上山が書き割りってことは無いだろうよ。