英雄論

某所でマンガのヒーローって不幸な境遇を売りにしてる奴ばっかりでうんざりだー!論を目にして色々思う事があったが、その人の言う「限定的境遇」には特に思うことは無いので、ここで独り言として書きます



上で書いた様に、俺は金竜飛相手の「突然不幸自慢をはじめるボクサーに呑まれてしまう」ボクシングなのかなんなのかよく分からない闘いが嫌いなんですけど、ジョーはジョーで親無しなんですよね

もっとも、島本氏は「親がいない方が主人公を動かし易い」の一言でこの問題は片づけてますが(笑)



あと、神話、民話の時代から欠落を抱えた英雄というのはひとつのパターンとしてあった…

というのは、ヒーローって格好いいけど、やっぱ普通が一番だから囲炉裏のまえのおともだちは

地道に畑でも耕してねと言うような意味合いがありそうな…

「旅人」に対する定住者の差別の視線、というかそういうものが根底にあるのではないかと

そういやあしたのジョーの方程式も結局「ホセ的な生き方を目指しているはずなのに、ついついジョーをやっちゃう俺」というのがオチだった(笑)


「親が生きてたらヒーローになれないんだ」

「不幸じゃないと主人公と友達になれないんだ」

という残念感を某氏は感じてらっしゃる様ですが…うーん、アムロはちがうのよ

というか、「おはなし」とつき合う上だけでの問題なんだから特に問題意識は感じてないのか…俺自身はこの件に関して

いくら幼児誌のふろくCDで「いつもおうえんしてくれてありがとう」とキュアブラックが呼びかけてくれたって

プリキュアとは友達にはなれないってのはもうおにいさんなんだから解るでしょ。



それよりも、欠落感を抱えているからと、うっかり現実生活で「選ばれた」*1と思っちゃうとえらいことになる問題の方がタチ悪いよね

オカルト漫画の設定みたいな用語の飛び交うオウム真理教とか、リアルで選ばれちゃった感にとりつかれちゃった人達、って言い方をよくされましたし。

別に物語の毒、っていうのは最近に限った話じゃなくて、テロも戦争もみんな偉い人の作った「おはなし」につき合って命のやり取りやってんだよね、兵隊さんは



だが、やはりおはなしとして整合性のある目的を設定しないことには人生はあまりにも生きづらい、というのも現実問題としてあるわけです。

引きこもりの原因のひとつは”普通”を生きるためにさえ頑張らなくちゃならないのに

その普通の人生を送るためのおはなしの設定が嘘くさく感じられるためなんじゃないかしら。

おそらくはアニメやゲームというおはなしの世界にのめり込む事に否定的な眼差しを感じたことがある引きこもりが、

だからと言って現実世界の暗黙のルールという解りにくいおはなしにつき合うのにわざわざ努力する事に…魅力は感じないよな、そりゃ。

無限大の夢のあとの何もない世の中じゃ愛しい思いも負けそうになるって訳よ

そういう意味ではやはり世界を動かす力として良くも悪くもおはなしが作用してるわけで、「流行」というおはなしに乗っちゃった方が楽に生きられるな、って気もするわ。

正しいとか、格好いいなんて価値観なんて所詮相対的なものなのだから。



もっとも、若い人はこんなシラけた視点で物を見たりしないで、

「いいや!俺は新しい形を見つけてみせる!」

とか鼻息あらくして欲しい気持ちもあるね(笑)


話してみたら「おまえが描け」って言われました

僕もそんな思いを抱えて作られた作品、見てみたいです。

んー「ヒーロー」って観点で突き詰めていくとなんか掘り出せそうな気はしてきたが、

面白くない割りに長い文章になってきたので今日はこの辺で終わり(大体続かないw)

*1:主人公に抜擢されたの意でゲームや漫画でよく見る表現