勝ち負けだけじゃない未来に

 今週は彼のことを考えて鬱々としてました。
 ガマオが、職を転々として自分探しをしている姿は、一話で言及されている色々な部活に入ってみるがどれも長続きしないのぞみの姿そのもので、当然なんらかの救いが用意されているものとばかり思っていたのですよ。まあのぞみにしてみれば似てる分近親憎悪を感じるのも分かりますが、何も殺す事ないだろ。
 
 彼が「絶対許せない」悪とされて居るのは(1)私利私欲のため強盗を働くナイトメア思考と、(2)他人の努力する姿をあざ笑う態度によります。
 前者に関しては企業のルーズな倫理観に毒されて自分を見失ってるとも言えるし、後者は以前書いた様に、彼がプリキュアをあざける言葉は実はいい歳して常に腹ペコで天職探しに右往左往してる自らに向けられた嘲笑であるともとれるわけです。おそらく駄目な思考パターンで行動してる事だけは自覚はあるんだが、どこのボタンを掛け違えているかが分からない不安感。彼なりの努力が誰にも評価されず、ひょっとしたら怠け者、駄目人間と思われてるんじゃないかというひがみ、そんな感情が彼を攻撃的な言動をとらせるんだろうなぁ。
 そんな彼を「死んで当然」と斬って捨てる事は俺にはできません。

 彼はいつも腹を空かせていて、肥えた外観ですがこれは飽くなき貪欲さの擬人化という意図があったのかなぁ、殺される程悪い奴だったとすると。
 彼がナイトメアをドロップアウトしてから半年くらいだと思いますが、その間社会保障も親の仕送りもアテに出来ず(たぶん)ネットカフェ難民みたいにしてどうにかこうにか食いつないできたことを思うとそんな風に見る事は出来ないですよ。彼は立派ではないにしろ彼なりに頑張って来たじゃないか、あと少し、あと少しだけ頑張ればまっとうな人生を送れたんじゃないか、と思ってしまうのは、多分俺自身働かずに生きていけたらなぁ…なんて馬鹿な事を考えがちな屑だからなんでしょうが。

 過去のプリキュアシリーズではプリキュアと心を通わす闇の眷属が何人か登場しますが、いずれもはじめは前述の(1)(2)のような態度で、何かに頑張る主人公に冷笑的でした。その中でガマオが殺されなきゃな欄ほど悪い奴だったか…
 無印のキリヤ君は主人公ほのかに一目惚れしたため、遂に一度もザケンナーを呼ぶ事はありませんでした。本人の絶望的なまでの自己表現力のなさで猛烈な一方通行の愛でしたが。最終決戦でプリキュアを助けるいい役を与えられますが、その直前の無気力描写がハンパじゃない。その後行方不明。
 S☆Sの満と薫はキリヤより攻撃的で、プリキュアにウザイナーをけしかけた事もありましたが、ダークフォールでは味わった事のない他人に感謝されることの嬉しさを壊す事が出来ず出撃拒否して幽閉されたり、産みの親のアクダイカーンが倒れたことによって命を落としたりとさんざんな目にあってました。
 生まれ育った共同体の慣習から逸脱して隣村の「愛」を手に入れる事の代償は決して安くは無いのです。

 そう考えると、ガマオの様なキャラが自らのアイデンティティに悩む姿ってのは似つかわしく無いような気がします。ルックス的に(笑)うんやっぱ正体がイケメン王子でもないと生き延びるのは無理だったね。
 結局外見かよ!(自分で言ったくせに)
 でも出来れば誰を愛する事もなく、誰からも愛される事もなく逝った彼にも友達が出来たら良かったのに…と思わずには居られません。*1

 と、比較的憎たらしいキャラだった彼の死でさえこんなに悲しいのだから、ブンビーさんとか殉職した日には本気でへこみそうです。 
 殺すなら殺すでもっと普段から富士鷹ジュビロみたいに憎たらしいドロドロした悪人を執拗に描写しといて下さいよ、もう、プンプン!(それ幼女向けアニメは無理だ)


教訓:いい歳して自分探しなんかしてる悪い大人はプリキュアに殺されるから真面目に働こう!

がむしゃらに夢を追いかけるあまり周囲に迷惑かけがちだった増子さんはあのまま暴走を続けていたらプリキュア5に惨殺されるところだったんだな。怖い番組だ。

*1:だが、みのり×薫の様にりんの妹になつかれたとしたら、犯罪者直前の絵が出来上がってしまい猛烈にマズイ!wお兄ちゃんは悪くない