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ブレイブストーリー

ケロロのブックカバーが欲しいので夏の100冊のを買ったよ。

感想を書きますが、多分夏休みの宿題の読書感想文が終わってないおともだちの参考にはならないので、

もっと真面目なこと書いてるサイトを探して下さい(笑)

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫) ブレイブ・ストーリー (中) (角川文庫) ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫) 

結論から言うと上手いことメディアミックス路線にはめられたなぁーって(笑)



映画では主人公のワタルが集める5つの宝玉のうち、2つ目を手に入れるところまでは描写があるのですが、

その後予告編風の映像ラッシュで色んなところを旅しましたよ、的なことを表現していたかと思うと、

いつの間にか剣にはまってる宝玉が4つになってたりして(笑)

その映像ラッシュが結構楽しげで、美しいので、俄然省略部分に興味が湧くわけですが…



小説版は結構映画と印象が違うのですよ。

映画観てて「あんまり宮部みゆきっぽくないなぁ」と思っていたんですが、

っぽいわ、宮部みゆきっぽい!

映画では現代日本からロールプレイングゲーム的世界に突入するまでせいぜい2,30分程度だったと思うのですが、原作では上巻のほとんど(460ページ中380ページほど)が段々と暗い方向に向かって行く現実生活の描写に費やされていて、殊に父親が家を出て行く前後の描写はねちっこい(笑)



この暗さは幻界の旅にも影を落としていて、ティアズヘブンのあたりの救いの無いことと言ったらないわ。

ほかのカットされたエピソードもネガティブなものが多いです。

もっとも、キ・キーマやミーナと言った旅の仲間は映画と変わらぬ明るさで動き回っていて、この辺は光と闇のコントラストが効果的に使われています。

とは言え、ティアズヘブンが無い映画版は、黒いワタルとの対決シーンの意味合いがとらえにくいんでは無いかと思うんですよ。メインの対象である子供には特に。

ラストのワタルの葛藤も、原作の方が悩みが深いだけそこを通り抜けた時のカタルシスを高めていると思います。

もっとも実際には悩みに悩んだ末に鮮やかに浮かび上がった悟りなんて、シャボン玉みたいなもんで、すぐに弾けて消えてしまうものですが…まあそういうツッコミは野暮ですか?

原作では、最後に幻界がワタルの内面をかなり反映していたことが示されますが、ということは、幻界でワタルが出会ったミツルはあくまでワタルの中のミツルで、ワタルに旅人の証を渡したあとの彼は、全然ワタルが見聞きしたのとは別の冒険を体験して、彼なりの答えに辿り着いたのかもしれませんな。

映画のラストシーンはどうにも座りが悪かったんですが、そういうことなら納得いきますわ





映画版の方がいいな、と思ったのはワタルがハイランダー*1であるということを行動原理にしていないところ。

仕事だから義務として悪を見過ごせないのではなく、あくまでワタルの倫理基準から外れることを止めたい。

というのはすがすがしいですよ。

ていうか原作版のカッツは子供を暗殺テロに使おうとするなや、本当にもう。




*1:自警団的な正義の団体