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アイの物語
- 作者: 山本弘,李夏紀
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/05/31
- メディア: 単行本
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短編集なんですが、とらわれの人間がアンドロイドに物語を聴かされる、
というアラビアンナイト的なミステリアスな導入部と、テンポが良くて
スリリングな一本目の掴みが上手くて一気に最後まで読みました。
一本目の「宇宙をぼくの手の上に」は50ページという短い枚数の中でエキサイティングに
展開するドラマが実に面白かった。
劇中のSFサークルが公開しているweb連載小説が、リアルタイムで進行中の事件に
影響を与えていく話なんですが、割と苦い味を残しながらも爽やかな読後感。
本のタイトルのアイとは愛でありAIであり一人称の"I"であるわけですが、
実は1本目の段階でこの辺のテーマは内包されていて実に巧みな構成です。
山本版「接続された女」な2本目、育成対話AIゲームとの友情を描いた3本目など
いかにもオタク作家らしい話を経て、意外な「コンピューターの叛乱」を描く
6本目7本目の展開が見事。
最終的に明らかになる事実には、んなアホな!とは思うんだけど、その辺を
人間にTAIの虚数パラメーターiを使った概念は理解できない、という設定やら、
実に意味不明なTAI同士の会話などの力業で押し通しちゃうあたりは面白いです。