キャプテンアメリカと電人ザボーガー
なんかこう…どっちも面白いっちゃ面白いし、なんかなー、って言ったら何かなーって感じなんでどれを見ようか迷っててここにおいでの方には両方見ろとしか言えないのだった(笑)
スーパーヒーロー映画としてのキャプテンアメリカ・ファーストアベンジャーはアベンジャーズの予告編ムービーでしかない、という印象なんですが…じゃあつまらなかったかと言うと貧弱だった坊やが勇気と正義感で味方部隊を救出し、悪の秘密結社に立ち向かうと言う筋が(あまり)嫌味なく描かれていて、冒険活劇としてレベルの高い作品でした。
誕生エピソードを描くだけで終わってしまうことも多いアメコミ映画のパート1としてはそれだけで評価は高いのですが、何が不満なのかっていうと…超人的な肉体能力と回復能力を持つスーパーヒーローとしてのキャップがちっとも楽しめなかったこと。
申し訳程度に盾をフリスビーにして攻撃する描写はあるんですが、ナチの大舞台に突っ込む以上は銃撃戦は避けられません。ヴィランもヒドラ(これも画面じゃ明らかにハイドラ言ってるのになんでギリシャ語発音で字幕にするのか意味不明)の首領レッドスカル以外に居ませんのでさっぱりスーパーヒーローものを見てる気がしないのです。うーん…
超人的な身体能力を活かしたバトルって実はキャプテンアメリカを名乗る以前の自動車を走って追いかけたり、小型潜水艇に肉薄するあたりなんだよね…
しかもエンドロールで最初に流れる曲が胸くそ悪いCM時代のアレでこの辺は結構悪意を感じちゃいます。
21世紀のヒーロー映画って画面は派手になりましたけどバットマンやスーパーマンのようなキャッチィなテーマ曲に恵まれませんな。
エンドロールの立体ポスターアートは3D上映で見たら一番おおって思うシーンじゃないかと思うんですが、2Dで見たので断言はできない。
さて、ザボーガーですが、テレビで予告編を見た段階では板尾大門編を楽しみに観に行った訳ですが…存外青年期編がいい。ミスボーグと大門の関係に注目しちゃうとシラけがちかと思うのですが、物言わぬザボーガーの体に宿る正義の心と大門の友情、すれ違い、板挟みなんか俺の大好物なんだよね。
テレビシリーズのことはよく分からないのであまり詳細な比較はできないのですが、ゴーオンレッド・古原靖久がブルース・リーを意識しまくったオーバーアクション空手家の大門豊役には実に適役で、これと仮面ライダーV3かってくらいの採石場の大爆発を見るためだけでも劇場に脚を運ぶ価値はあります。
…が、まあこの作品がそんな熱血一辺倒になるはずも無く、第一部からちょこちょこお笑い要素は入ってくるんですけども。正直今の目で見ればテレビのザボーガーも真面目にやれ、という感じの要素で溢れてるんでこの時点では俺はそんなに違和感感じなかったのだった。
菊池俊輔の音楽をほぼそのまま新録で使用してる、ってのも大きいか。70年代特撮が好きであれを聴いて血がたぎらぬ者は居るまいて。キャプテンアメリカと違ってじつにヒーロー映画、って感じだよ。
で、熟年期編。
おそらくこれが撮りたくて説明のために第一部をでっち上げたんだろう、と思うんですが…
ぶっちゃけ25年前からさっぱり進歩していないこの時期の大門に感情移入できるつくりにはさっぱりなってないし、突然現れて数分しか大門と一緒にいない秋子なんかなおさら。何より悪之宮博士が活劇の悪役的迂闊さを通り越して全力で頭悪すぎる。
全力で蛇足感しか感じない。
でもなー、やっぱ第一部と予告編は本当に大好きなんでこの部分は評価されるべき!