おもちゃ会社は悪だと思いますか?
プリキュア シンドローム!〈プリキュア5〉の魂を生んだ25人【描き下ろしポストカード3枚付き】
- 作者: 加藤レイズナ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/03/09
- メディア: 単行本
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当時はふたりはプリキュア Splash Starの売り上げが不振だったこともあって、かなり危機意識の中での試行錯誤があったようで、そういうテンションの高いものづくりの話というのは端から眺めている分には大変興味深く、面白く読みました。
どの関係者もプリキュアを愛して、いい物を世に送り出したい、という情熱に溢れているのが分かるんですが、興味深いのは立場によって必ずしも意見が一致していないこと。
5最終回で一年間追い求めたピンキーコレットをついに我が物とし、永遠の若さを得ても満たされないデスパライア様に説教してそれぞれの夢に向かって歩き出す決意を固めたプリキュアが、しかし続編で大人になれず同学年のままスタートしてしまううすら寒さ、というのは俺も見ていてものすごく気になっていた部分でした。脚本の村山功氏もその辺にはネガティブな印象を持っていたそうで…この辺は鷲尾天さんなんかは
子供にとってみたら歳をとるとか卒業するとかはあまり関係ないかな、と思ったんです
と別のインタビューであっさり済ませてるんですけども。
かと思うと
いまは意味がわからないかもしれないけれど、大きくなってほんとうにつらいことがあったときに、プリキュアが言っていた希望を捨てちゃいけないという意味がわかるかもしれない
なんて二枚舌…いや…方便使ってる印象が無くはない。もっとも鷲尾さんのプリキュ愛に疑いを挟む余地が無いのは一読して頂ければ分かることと思います。
プリキュアとあんまり関係ない五條さんの個人ライブや、番組終了から何年も経ってからのスプラッシュスターの番組非公認ライブでもよくお姿を拝見しましたよ。
とは言え、プリキュア5って一番躊躇無く敵幹部をぶっ殺していたプリキュア、という印象があるので
(プリキュア・ファイブ・エクスプロージョンで)突撃するけど敵をやっつけた様に見せたくはない。いつも悩むところです。「Splash☆Star」のころも破壊はしたくないからその場で光に包まれてもとの姿に戻していました。
という小村敏明氏の言葉には驚いた。ふたりは系プリキュアなんかは明確にセリフで「元の姿に戻った」事を明示しては居たが、それでも俺は見ていて「人格の消滅=死」にしか見えなかったから。
もっともスプラッシュスターでは倒された幹部があっさり生き返ったりして、彼らの心は消滅しては居なかったのだな、というのはかなり番組の後半になって飲み込めるんですが。
この辺はしかし「子供番組だから作り手の都合で簡単に簡単に生き死にが覆るなー」という見方も可能で、実際寝ぼけまなこでリアルタイム視聴していた本放送時はそういう受け取り方だったんですよ。感じ悪い大人の視聴者だなぁ(笑)
というか勧善懲悪的に「悪い奴が居なくなって良かったねー」という展開もすっきりしていいと思うんですよ。しかしナイトメアやエターナルの人たちってあまりに人間くさくて、憎たらしくて憎たらしくて溜まらない敵という感じがしなかったので、彼らの「死」はいちいち見ていてつらかった…5は多分に敵側に肩入れして見ていたシリーズでした。ま、ドリームライブでも遊んだけどね(笑)
この本読むと結構バンダイと東映アニメーションの間でも玩具展開に関する話し合いがあって、よりよい作品にしたい、という意志が見えて頼もしいんだけど、その辺はもっと押しつけがましい印象があったんですよね。「ふたりはプリキュア」に唐突に出てくるドキラブチェッカーやスプラッシュスターの精霊の力で変化したとても中学生が使うとは思えない筆入れとか、はたまたフレッシュ以降の絶対に許せなくて堪忍袋の緒が切れているはずなのにニコニコ媚び売りながら*1変身するプリキュアからは、やらされてる感を受信せざるを得なかった。
…とは言え、それこそ子供番組につきものの「お約束」でしかなく、悪と言うより予定調和。
先ほど触れた、前作の一年後の話なのに歳をとらない、というのが、視聴者が成長して玩具を買ってくれなくなるのは困る、という意識の現れなのか、逆にそこが気になる様になった子はもう大人なんだからいつまでもプリキュアなんかにしがみついていてはいけないよ、というメッセージなのかは判断に苦しみますが。
それよりもやはり正義の味方を活躍させるために破壊を、略奪を、悪を描かざるを得ない、言い換えればプリキュアが、ライダーが、レンジャーこそがこの世に悪をもたらしているのだというヒーロー物に付き物のマッチポンプ感とどう折り合いを付けるかというのがヒーロー好きの大人が向き合わねばならぬ心の闇だと言えるでしょう。もはや手あかの付いた話題だけど。
俺は子供押しのけて最前列で着ぐるみショーを見るような大人の姿を見るのが嫌いなんだけど、彼らの様に自分の欲望だけを追い求めて開き直るのが「オトナ」としては正しい態度なのかもしれないね。
あとはやはり5までの流れ、という話でスプラッシュスターまで監督を務めた西尾大介さんの話も頻繁に出てきましたので西尾さん本人のお話も伺いたい気持ちにはなりました。
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*1:これはかわいい格好をする喜びではなく、大切な友達を守れる自分にチェンジする喜びと解釈出来なくは無いが…やはり前後の表情と変身バンクとのギャップに違和感は残る